軽量藁土工法とは?

日本大学建築・地域共生デザイン研究室では2010年より日本における軽量土充填工法の可能性を研究している。藁、籾殻、木質チップ等の多種多様な軽量骨材を使用しサンプルを作り、熱伝導率を測定して来た。
粘土と木質チップ(左)と粘土と藁(右)の熱伝導率測定
耐震性を高めるための竹摺りをかいた粘土と籾殻による軽量土充塡サンプル

2013年に筆者がアシストした日本初、屋根・床・壁を軽量藁土充填工法で建てられた家は、建築家両川正氏により設計、棟梁大工玉井淺夫氏により施工された。
日本初軽量藁土充塡工法の家の内装と外装

軽量土充填壁の厚みは柱の奥行きと同じ120mmである。耐震性を高めるため軽量藁土壁の内側と外側に水平に木摺りを張った。或る箇所は作業時間短縮のため型枠と兼ねて木刷りを使ったが強度が十分でない為、軽量藁土を詰めると木刷りの中央に向かって外側にやや膨張する傾向に有る事がわかった。
型枠を使用した充填
木刷りを設置する前(上)と後(下)の軽量藁土充填壁

型枠と兼ねて木刷りを使用

軽量藁土壁の内壁と外壁の下塗りは土で前面塗り、一階の外壁は雨水浸食や湿気被害から壁を守る為の板張り(レインスクリーン)で仕上げ、2階の外壁は漆喰で仕上げた。

1階の土の下塗りとレインスクリーン(雨水浸食防止板張り)
2階の漆喰仕上げ

更に、パッシブソーラーを利用したデザインのお陰で、冬はレンガ造ロケットストーブに一日約30分火入れのみで室内温度を十分暖かく保つ事が出来る。
ロケットストーブに使用した韓国から輸入したレンガ

まだまだ将来発展の余地があるが、軽量藁土充填工法はこれからの日本の自然建築の可能性を広げるだろう。

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